ついに!!飛べる、『フライボード』


フランスのジェットスキー王者であるフランキー・ザパタ氏が考案したウォータージェット・フライボードは、あっという間に休日の人気アトラクションとなった。まるで空を飛んでいるかのような感覚を味わえるのである。 ザパタ氏ほど立位式のジェットプラットフォームの経験が豊富な人物はいないだろう。彼は2011年に水流を下方に噴射することで、9mも飛び上がったり、アクロバティックなプレイが楽しめるフライボードをリリースした。

シンプルだが、実に楽しいフライボードはあっという間に人気アトラクションとなった。操作は少々トリッキーで、乗りこなすにはそれなりの筋力が必要となる。また、周りの人間もずぶ濡れになることを覚悟しなければならない。だがフライボードは安全で手ごろなパーソナルフライトの最たるものだろう。しかし、これは単なる踏み台にすぎなかった。

公開されたばかりの動画では、ザパタ氏の最新発明であるフライボード・エアが紹介されている。そこには水面に水しぶきを上げながら飛ぶ彼の姿が映されている。それまでのフライボードはジェットスキーにホースで繋がれたままだったが、フライボード・エアからはそうした煩わしい物は消えている。ハンドリングと制御システムはフライボードのそれを流用したようだが、ウォータージェトの部分はジェットタービンエンジンに変更されている。また燃料タンクと思わしきバックパックを背負っているのが確認できる。現在のフライボード・エアの性能は最大高度3,048m、最大飛行時間10分、最高時速150km/hだそうだ。これによってザパタ氏は、JB-9ジェットパックを開発したデビッド・メイマン氏とネルソン・タイラー氏に並ぶことになった。だが、彼らは皆同じ問題に突き当たっている。すなわち、万が一エンジンが故障したらどうするのだろうか? ザパタ氏ほどのアスリートでなくても安全に使えるのだろうか? さらには責任を持ってこの製品を販売することはできるのだろうか?

30m程度の高さでは、開いて減速させる時間がないためパラシュートはあまり役に立たない。運だめしをしている気分にならないためには、75mは欲しいところだ。しかし、おそらく使用者は鳥の視点を味わえる高度を飛びたがるだろう。つまりフライボード・エアやJB-9が想定すべき高度は10〜60m程度であり、ここでエンジンに何らかの問題が生じれば、その結果は悲劇的なものになる。ゆっくりと降下するための翼もなく、オートローテションもできないそれは、自らが生み出す推進力のみに頼っているのだ。

だが安全面にさえ目をつぶれば、フライボード・エアは宇宙時代の素晴らしい飛行プラットフォームであり、ザパタ氏はパイロットとして適任だろう。少々恐ろしげにも見えるが、機敏でファンなフライト姿を見せてくれる。ぜひともデビッド・メイマン氏のJB-9ジェットパックと空のレースを繰り広げてもらいたいところだ。